関門航路について


関門航路

地形条件

   関門航路は、関門海峡を縦貫する全長約50km、航路幅500~2,200m、概ね航路水深ー13mの狭くて細長い水路で、響灘海域と周防灘海域で生じる潮位差により、関門海峡で最も狭い早鞆瀬戸では約10ノット(※1ノットは時速1.852km)にも達する潮流が発生し、海上交通の難所となっています。

沿革

関門航路整備の歴史は明治時代にさかのぼり、明治40年に港湾調査会が決定した関門海峡の改良方針に基づき、明治43年(1910年)に関門海峡第一期改良工事に着手しました。
 改良工事は第二次世界大戦で一時中断されたものの、昭和36年度から発足した第1次港湾整備5ヵ年計画に基づき工事が積極的に実施されてきました。
   その後昭和49年7月には港湾法による開発保全航路に指定され、現在は平成3年の関門航路の整備計画を目標に航路水深-14m化に向けて航路整備が進められています。
   そして令和6年(2024年)、関門航路は整備開始から113年を迎えました。
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役割

関門航路は、東アジア(韓国・中国)・日本・北米等の主要港湾間を結ぶコンテナ船の国際航路として、また東アジア等と西日本経済圏を結ぶ貨物船の国際航路として、日本の産業・経済を支える大動脈となっています。
   さらに、国内の各港湾を結ぶ国内幹線航路としても重要な役割を果たしています。

        

通航船舶の隻数

関門航路の通航船舶は非常に多く、1年間に500総トン以上の船舶が6万~7万隻程度通航しています。
   2万GT以上※の大型船は2009年の世界同時不況の影響で一時減少していましたが、2010年には回復し、その後は横ばいで推移していましたが、船舶の大型化や近年のコロナの影響により、2022年には約6万隻となっております。

 

船舶の海難事故

   関門海峡は、複雑な地形や潮流条件により、我が国有数の海の難所と言われており、関門航路周辺では船舶の衝突や座礁などの海難事故が多数発生しています。

  
CHU-HAI号の引き揚げ作業状況
CHU-HAI号の引き揚げ作業状況
 平成9年11月に門司区西海岸沖の関門航路内で、中国船籍のコンテナ船「CHU-HAI」号が西航中、対航船の灯火を誤判断し、衝突沈没しました。翌年5月から撤去作業が開始され、7月に引き揚げ作業が完了しました。
オリエントパール号の引き揚げ作業状況
オリエントパール号の引き揚げ作業状況
また、平成12年6月には北九州市馬島沖の航路内でパナマ船籍の貨物船「オリエントパール号」が濃霧の中を航行中、タンカーと衝突沈没しました。事故の翌 日には別の船が沈没船に乗り上げるという二次災害事故が発生しました。沈没船を引き揚げるまでの間、流出油の防除や沈没船を明示するブイを設置するなどの 措置をおこない、10月に引き揚げ作業は完了しました。
GUO TONG号の引き揚げ作業状況
GUO TONG号の引き揚げ作業状況
 平成18年11月に巌流島東側航路内でカンボジア船籍の貨物船「GUO TONG」が西航中、見張りが不十分だった日本船籍漁船に衝突され沈没しました。事故が原因で関門航路は、約15時間にわたり航行禁止措置がとられました。なお事故後102日経過した翌年2月に船骸引き揚げが行われました。