関門海峡
位置
関門海峡は、九州の北端(福岡県北九州市)と本州西端(山口県下関市)との間に位置しています。西の日本海・響灘(外海)と東の瀬戸内海・周防灘(内海)という二つの海を結ぶ海峡です。
潮位・潮流
<潮位>
関門海峡内ではその地形から非常に複雑な潮汐変化が生じています。潮の干満の差は周防灘が大きく約3.8メートル、響灘側は約1.5メートルで、この潮位差が海峡内の急潮流や複雑な潮汐の原因となっています。
<潮流>
関門海峡は響灘と周防灘の潮汐の影響を受ける狭く細長い海峡であり、両側で生じる潮位差により関門海峡の一番狭い早鞆瀬戸(はやとものせと)では約10ノット(※1ノットは時速1.852Km)の潮流が発生します。
みち潮時は西流れ、ひき潮時には東流れとなり、1日4回約6時間ごとに向きを変えます。
<西流れ(みち潮時)>
周辺の海底土質
関門航路周辺における底質の分布は、響灘海域、関門海峡、周防灘海域の各区域においてその特性が異なり、全体としては響灘海域から海峡部を経て周防灘側に 向かうほど粒径が小さくなる傾向となっています。その粒径の変化の度合いは、響灘と海峡部の境に比べ、海峡部と周防灘の境で極端に細粒化しています。以上 をまとめると次のようになります。
- 礫は主に海峡部に見られます。
- 砂はほとんどの調査点で見られ、特に響灘海域のほとんどが砂で占められています。一方、周防灘海域では北部に分布しています。
- 泥土(シルト、粘土)は周防灘海域でほとんどを占めています。また、響灘における六連島(むつれじま)北側海域にも分布しています。

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気候の特徴
関門海峡は、響灘・瀬戸内海・周防灘の3つの海流の影響を受けるため、冬の気候には2面性があります。西側の響灘は、日本海特有の冬季風浪による影響を受けますが、東側の周防灘は、瀬戸内海特有の比較的平穏な海域となっています。
また、関門海峡は、春先にはしばしば発生する濃い霧のために、海峡の通航が規制されることもあります。
▼ 濃霧による入航中止勧告発令のため、霧が晴れるのを待つ船舶
▼ 入航中止勧告が解除されると、これらの船が一斉に通峡しました。
歴史
●源平最後の対決 「壇之浦の合戦」
寿永4年(1185)両軍約4,000艘とも言われる軍船が、関門海峡に集結していました。白旗をなびかせるのは、源義経が率いる源氏勢、対する平家は平宗盛、平知盛がい率い、船には赤い旗が翻っていました。

●赤間神宮
壇ノ浦の合戦で平家の敗北とともに、祖母二位の尼と海中に没したとされる幼帝の安徳天皇(当時八歳)が奉られています。京都や奈良などを除く地方に、天皇陵が存在するのは稀なことです。海底の竜宮城をイメージした朱塗りの水天門が造られています。
●長州大砲
幕末の攘夷戦で外国船に砲撃した砲台跡でもあります。
~壇ノ浦みもすそ川公園~
公園前に広がる海は関門海峡の一番狭まったところで「早鞆の瀬戸」といわれ、潮の流れが速く、潮流の変化が激しい海の難所。檀之浦古戦場を一望出来るこの場所は、『今ぞ知る みもすそ川の 御ながれ 波の下にもみやこありとは』(長門本平家物語)という二位の尼辞世の歌から地名が生じたといわれ、当時を偲ぶ石碑や歌碑があります。


●功山寺
室町時代の建造物と考えられ、平成16年6月15日に国の登録文化財(再現することが容易でないもの)に指定された総門、本柱を棟木際までのばす禅宗様の四脚門で、国宝仏殿のある伽藍東側正面にあります。

●巌流島
関門海峡に浮かぶ周囲約1.6kmの小さな島で宮本武蔵と佐々木小次郎が相対したのは、慶長17年 (1612)4月13日のことでした。現在は、海沿いの散策道なども整備され、誰でも気軽に訪れることができます。
巌流島には武蔵・小次郎像があります。三尺一寸(約103cm)の太刀を持つ小次郎と、船の櫂を削った木刀を振りかざし宙を舞う、荒々しい武蔵の姿を捉えた2体の像。決闘の場面が甦るようです。


●旧英国領事館
下関レトロ建築群の中でも赤煉瓦の姿が美しい建物です。明治時代、下関での領事館の必要性を説いたアーネスト・サトウが英国首相に具申、1906年(明治39年)完成しました。

関門国道トンネル
昭和33年(1958年)完成したトンネルは2階建てで、延長3,461メートル、海底部780メートル、幅は自動車道が7.5メートル、人道が4メートルです。人道の方は昭和47年から人の通行料が無料となり、現在多くの人に利用されています。
現在の関門トンネルの写真



1958年3月9日 祝賀行事の様子
関門橋開通

関門海峡Q&A
Q1.関門海峡の流速は日本で何番目なの?
関門海峡の潮の流れはとても速く、鳴門海峡、来島海峡(くるしまかいきょう)についで国内第3位です。 早鞆瀬戸(はやとものせと)では壇ノ浦の干潮のころ、東流れが最も速くなり、満潮のころ、西流れが最も速くなります。満潮と干潮は1日に2回ずつあるので東西の流れもだいたい規則正しく1日2回ずつやってきます。
Q2.関門海峡の最大流速はどれくらい?
関門海峡の一番狭い早鞆瀬戸(はやとものせと)では、約10ノット(※1ノットは時速1.852km)の潮流が発生します。
Q3.関門海峡の一番狭い場所の距離は?
関門橋東側の、火ノ山下潮流信号所付近海岸(下関市)から門司埼(北九州市)までの岸線間距離約650メートルです。
Q4.関門海峡の一番深いところは?
関門橋の東約1.1キロメートル地点で、水深47メートルあります。
Q5.何隻の船が関門海峡を通るの?
多いときには、1日に約1,000隻の船舶が通っています。
Q6.関門航路の深さはどれくらい?
南東水道地区を除いて、現在は概ね13メートルです。13メートルというとビルの4階くらいの高さに相当します。関門航路を通る船は年々大きくなっていますので、航路内全域の水深マイナス14メートルをめざして、拡幅・増深しています。
Q7.何トンぐらいの船が通れるの?
コンテナを満載にした20,000DW級コンテナ船が通れます。