事務所の情報


事務所の概要

関門航路の概要

関門海峡は、九州の北端(福岡県北九州市)と本州西端(山口県下関市)の間に位置し、日本海の響灘(外海)と瀬戸内海側の周防灘(内海)を結ぶS字型に湾曲した海峡です。

この海峡は大陸・日本海地方と瀬戸内・東海道地方を結ぶ海路の要衝であり、例えば古代には大陸の先進地域と畿内との間で政治・文化交流使節を運ぶ遣唐使船等が、近世には北海道・東北・北陸と大阪の間で物産の交易を行う北前船等が利用しました。現在でも、例えば東アジアから日本を経由して北米に至る北米航路の外航コンテナ船や、北部九州と本州を結ぶ内航フェリー等、年間約6万隻~7万隻の外航船や内航船が関門海峡を通航しています。

「関門航路全体の写真(※クリックすると拡大します)」

一方で、航行可能な幅が狭く(最小約500m)、また屈曲する水路は見通しが悪く、さらに潮流が複雑で約10ノットと速く(※1ノットは時速1.852km)、加えて航行船舶の数が多いことから、航行の難所としても知られています。明治時代以前には各所に暗礁も点在し、船舶航行の安全を脅かしていました。

明治以降、政府は航行安全を図るために暗礁撤去を行い、さらにはより大型の船舶を安全に通航させるために航路を浚渫して増深・拡幅を行ってきました。

現在、関門海峡から周防灘にかけての全長約50km、幅500~2,200mの海域が港湾法上の「開発保全航路」の一つである「関門航路」に指定され、国が航路の増深・拡幅・直線化及び維持管理を行っています。現在の航路水深は概ね13mで、現在14mに増深する整備を行っています。

開発保全航路

開発保全航路とは、「港湾管理者が管理する港湾区域及び河川法に規定する河川区域以外の水域における船舶の交通を確保するため開発及び保全に関する工事を必要とする航路」と港湾法第2条第8項に規定され、その航路の区域は政令で定めています。

具体的には、港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針(運輸省告示)の中で、開発保全航路の配置は、「船舶航行量が多く、船舶交通の要衝である区域等において、船舶の大型化や高速化に対応して、海上交通の安全性、効率性を向上させるため、東京湾、伊勢湾、関門海峡等に開発保全航路を配置する」となっています。

現在、開発保全航路は15航路が指定され、「関門航路」もその中の一つです。

この開発保全航路の開発及び保全は、「国土交通大臣がおこなう」(港湾法第43条の6)とされていますが、これは、都道府県の県境や利害を超え広く不特定多数の利用者の用に供されるだけでなく、国際航路としての利用に供される事から、国自らがおこなうこととしたものです。

開発業務をおこなっている開発保全航路の位置図

開発業務

事務所所有の浚渫船「海翔丸(かいしょうまる)」による浚渫及び請負による浚渫、事務所所有の測量船「海燕」による航路計画作成のための計画測量及び浚渫後の竣工測量並びに海図補正のための補正測量、その他整備に関する工事及び調査をおこなっています。

  ◆ドラグサクション浚渫兼油回収船「海翔丸」                         

海翔丸

  ◆海燕による航路測深状況

コスモ

保全業務

航路を保全(維持管理)するため、測量船「海燕」で航路内全区域の年1回深浅測量を実施し、埋没現象の著しい場所では年数回の深浅測量をおこない、埋没状況を監視しています。

また、定期的な監視パトロールや、航路内の水域占用などの規制をおこなっています。
その他、保全に関する工事及び調査をおこなっています。

海洋環境業務

 事務所所有の環境整備船「がんりゅう」による浮遊ごみ等の回収をおこなっています。

管理業務

関門航路事務所は関門航路の管理者として、航行船舶の安全確保、二次災害の防止などを効率的に行うため、監視カメラやレーダー、AIS(自動船舶識別装置)を活用した「航路管理システム」を構築し、航路を監視しています。

 監視カメラ

  全長約50km・S字形の航路を監視するため、航路に沿って4箇所に監視カメラを設置しています。また、航路調査船「鎮西」にも監視カメラを装備し、海上災害発生時には現場に急行し、状況把握を行います。

         AIS(自動船舶識別装置)・レーダー

  多くの船が行き交う航路において航行の安全を確保するため、AISやレーダーを活用し、船舶の位置を把握しながら監視を行っています。AIS等を活用して、海難事故発生時等の船舶航行状況の把握を行うことができます。

緊急確保航路

  緊急確保航路とは、非常災害発生時に国土交通大臣が所有者の承諾を得ることなく障害物の除去を行える航路です。

  国土交通大臣は、非常災害が発生し、船舶の交通に支障が生じている場合において、緊急輸送を行う船舶の交通を確保するためやむを得ない必要がある時は、緊急確保航路内において、所有者の承諾を得ることなく漂流物の除去を行うことができます。また、緊急確保航路内に、工作物(魚礁や海底ケーブル等)の設置を行う場合は、国土交通大臣の許可が必要です。

海翔丸

九州地方整備局の担務海域内は、関門航路事務所が担当します。  コスモ

交通アクセス

関門航路事務所


〒802-0001 福岡県北九州市小倉北区浅野3丁目7-38
TEL : 093-512-8091